「それとも縛られたほうが、よかった?」
2003年9月11日『悪魔の虜』
『わがままな神様』(四谷シモーヌ著・キララノベルス)
前作『悪魔の奴隷』につづくシリーズ。タイトルだけ見るとやたら迫力がありますが、実際は門地さんのイラストもキュートな学園物です。
しかし、本人自らあとがきで「政治オタク」を自任するシモーヌさんの描く学園物は、学園は学園でも、そんじょそこらの学園とは一味も二味もちがいます。
というのも、「総裁」のいる学園なのです。
なんてったって総裁。
……。
すごいですね。おまけにタイムリーです。(注:これはわたしの読んだ時期がたまたま、というだけですが)
要は生徒会長のことを、この学園では「総裁」と呼ぶ習わしになっているのですが、それも良家の子弟ばかりが通う名門校であればなんとなく納得……できるような、できないような。
いずれにせよ、この学園における「総裁」は、絶対的な権力をもっているのです。その決定たるや、教師でさえも逆らうことはできないというのだから、党内すらもまとめられないどこかの国の党首からみると、夢のような学園ですね。
そして総裁がいれば、もちろんいるのが副総裁。(どこかの党の副総裁は臨時職ですが)
しかも、かれとかれとは恋人同士。(現実もそうだったらおもしろいのに)
美形で有能、しかも年下の副総裁のかれ(攻)は、学園の中では総裁のかれ(受)に絶対服従を誓うかわりに、ベッドのなかでは総裁に絶対服従させるのです。
このベッドにおける暴君ぶりもなかなか読み応えがありますが、すごいのはそれだけではありません。
やはり特筆すべきは、昼間の総裁に対する尽くしっぷりでしょう。
前々回の日記でも、攻くんは命を張って受くんに尽くしていましたが、今回の副総裁のがんばりぶりも相当なものです。
家では家事能力ゼロの総裁のため、ベッドメイクからディナーの支度まで、身の回りの世話を完璧にこなし、(このシリーズのかれらも同居しているのです。同じく両親が仕事で家を空けているからなのですが……最近の親はなにをやっているんだ?)なにより学園においては、何もできない総裁(いえ、あくまでもこの本の総裁が、ですよ?)のかわりに生徒会の仕事を一手に引き受けます。
はては、予算のことも考えずに企画を立てる総裁のかげで、株を売買して費用の捻出までするしまつ。いくらコンピューターの天才で、すでにアメリカの大学院を卒業している身とはいえ、ディーリングで金をもうける高校生……のみならず、かれはその荒稼ぎでアメリカ市場を混乱にまで陥れるのです。末恐ろしい高校一年生ですね。
しかも、そのときのセリフが奮っています。
「いくら生徒会予算のためとはいえ、自分の勝手でアメリカ経済を混乱させたことを謝ります」
……いくらもなにも、日本の一学校の生徒会予算のために、アメリカ経済を混乱させたらダメですよね。
このへんの判断が、まだまだお子様ということでしょうか。
『わがままな神様』(四谷シモーヌ著・キララノベルス)
前作『悪魔の奴隷』につづくシリーズ。タイトルだけ見るとやたら迫力がありますが、実際は門地さんのイラストもキュートな学園物です。
しかし、本人自らあとがきで「政治オタク」を自任するシモーヌさんの描く学園物は、学園は学園でも、そんじょそこらの学園とは一味も二味もちがいます。
というのも、「総裁」のいる学園なのです。
なんてったって総裁。
……。
すごいですね。おまけにタイムリーです。(注:これはわたしの読んだ時期がたまたま、というだけですが)
要は生徒会長のことを、この学園では「総裁」と呼ぶ習わしになっているのですが、それも良家の子弟ばかりが通う名門校であればなんとなく納得……できるような、できないような。
いずれにせよ、この学園における「総裁」は、絶対的な権力をもっているのです。その決定たるや、教師でさえも逆らうことはできないというのだから、党内すらもまとめられないどこかの国の党首からみると、夢のような学園ですね。
そして総裁がいれば、もちろんいるのが副総裁。(どこかの党の副総裁は臨時職ですが)
しかも、かれとかれとは恋人同士。(現実もそうだったらおもしろいのに)
美形で有能、しかも年下の副総裁のかれ(攻)は、学園の中では総裁のかれ(受)に絶対服従を誓うかわりに、ベッドのなかでは総裁に絶対服従させるのです。
このベッドにおける暴君ぶりもなかなか読み応えがありますが、すごいのはそれだけではありません。
やはり特筆すべきは、昼間の総裁に対する尽くしっぷりでしょう。
前々回の日記でも、攻くんは命を張って受くんに尽くしていましたが、今回の副総裁のがんばりぶりも相当なものです。
家では家事能力ゼロの総裁のため、ベッドメイクからディナーの支度まで、身の回りの世話を完璧にこなし、(このシリーズのかれらも同居しているのです。同じく両親が仕事で家を空けているからなのですが……最近の親はなにをやっているんだ?)なにより学園においては、何もできない総裁(いえ、あくまでもこの本の総裁が、ですよ?)のかわりに生徒会の仕事を一手に引き受けます。
はては、予算のことも考えずに企画を立てる総裁のかげで、株を売買して費用の捻出までするしまつ。いくらコンピューターの天才で、すでにアメリカの大学院を卒業している身とはいえ、ディーリングで金をもうける高校生……のみならず、かれはその荒稼ぎでアメリカ市場を混乱にまで陥れるのです。末恐ろしい高校一年生ですね。
しかも、そのときのセリフが奮っています。
「いくら生徒会予算のためとはいえ、自分の勝手でアメリカ経済を混乱させたことを謝ります」
……いくらもなにも、日本の一学校の生徒会予算のために、アメリカ経済を混乱させたらダメですよね。
このへんの判断が、まだまだお子様ということでしょうか。
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